top of page
Writer's pictureGreenpeace Japan

「プラスチック条約」でどう変わる、どう変える? 使い捨てプラ廃棄ワースト2位 日本の未来

Updated: May 22



世界で2番目に一人当たりの使い捨てプラの廃棄量が多い日本。プラスチック包装に溢れた環境で孤独に頑張る脱プラにしんどさを感じているあなたにこそ知ってほしい「プラスチック条約」のこと。プラスチック条約は未来をどう変えるのでしょうか。効果的な条約に必要な内容は?


▼この記事を読むとわかること

> 日本の使い捨てプラごみ廃棄量は世界ワースト2位

>「プラスチック条約」でどう変わる? 世界の事例から

> 効果のあるプラ条約に必要なこと

> 仕組みから変えて、使い捨てない社会を作ろう



使い捨てプラスチック廃棄量が世界ワースト2位の日本


現在の日本におけるプラスチック使用の状況をご存じでしょうか。日本の一人当たりのプラスチック容器包装廃棄量は、世界でワースト2位です*



一人あたりのプラスチック容器包装の廃棄量(2014年)

環境省・経済産業省 レジ袋チャレンジ(出典元:国連環境計画(UNEP)の2018年度報告書)


第1位のアメリカに次いで、個人が最も大量の使い捨てプラスチックを消費している日本、その量は一人当たり年間32kgにも上ります(2018年時点)。


さらに、2021年の非OECD諸国への廃プラスチック輸出量は世界第1位でした。プラスチックを大量に使って、そのごみのリサイクル処理を海外に頼ってきたということです。


マニラ湾を通過する大量のプラスチック廃棄物を積んだ船と抗議活動を行うグリーンピース。(2019年3月)


そんな中、昨年2022年に、国連環境総会でプラスチック汚染を解決するために、国際的に法的拘束力のあるプラスチックにまつわる条約を制定し、2025年までに締結することが決定しました。


プラスチックの原料採掘、生産から使用、そして廃棄まで、「サイクル全体で規制しよう」という方向性が国連で合意され、プラスチックによる汚染を解決するための条約が誕生しようとしています。



この「プラ条約」がプラスチックを生産から規制する効果的な内容で締結されれば、使い捨てプラが当たり前になってしまっている日本でもルールがつくられることになります。


しかし、一方で条約の焦点をプラスチック削減ではなく、出てしまったごみをどうするかといった廃棄物管理に当てようとする動きもあり、プラスチック汚染を根本から解決させられる条約にするため条約締結までの交渉がとても重要です。



「プラスチック条約」でどう変わる? 世界の事例から


世界では日本に先駆けて、プラスチックを減らすための取り組みが始まっています。


例えば台湾では、2022年にグリーンピースのキャンペーン、そしてそれに賛同する台湾市民の呼びかけがあって、コンビニ最大手のひとつであるファミリーマートが、全店舗の10分の1にあたる400店舗で、返却式リユースカップの導入を始めました。


グリーンピースのプロジェクト「​​プラスチック・フリー・アライアンス」が台湾、台中市で開始したリユースカップのトライアルシステム。(2021年9月)


そのほかにも、2022年の4月末には台湾の環境保護局が、「使い捨て飲料用カップの使用制限と実施方法」を正式に発表し、予定よりも早く使い捨てプラスチックカップの規制が進むことになりました。


<世界の事例>


オーストリアでは、2025年までに飲料の25%を繰り返し使えるリユースパッケージで提供することをめざす法律が制定されています。


ポルトガルでは、2030年までに、流通するすべてのパッケージの30%をリユース可能なものにしようとしています。


カナダでは、2022年に特定使い捨てプラスチック禁止規制案が発表されました。政府の推定では、この規制によって、10年間で2万3,000トン以上のプラスチック(ごみ袋100万枚相当)の環境への流出を防ぐことができるとされています*


EU(欧州連合)では、2019年に「使い捨てプラスチック流通禁止指令」が可決されました。2021年7月から、プラスチック製のカトラリーやお皿、ストロー、その他の容器を規制して、EU全体で使い捨てごみを減らそうとしています。

EUは共通⽬標として、2030年までに、プラスチックごみ全体のリサイクル率を65%に、パッケージごみのリサイクル率を75%に上げることを目指していて、また、2030年までにすべてのプラごみの埋⽴率を最⼤で10%まで減らすことが求められ、 分別回収されたプラごみの埋⽴は禁⽌されます。



量り売りや、プラ包装されていない野菜、瓶やリユース容器を使った買い物がもっと気軽にできるようになるかもしれない。


真に効果的な「プラ条約」が締結され、各国の事例のように明確な数字が設定されれば、プラスチックの規制に後ろ向きだった日本でも、使い捨てプラについてのルールづくりが必要になるでしょう。


個人の心がけや努力だけに頼るのではなく、プラスチックまみれの生活から快適に抜け出すための仕組みづくりが飛躍的に進む可能性があります。



効果のあるプラ条約に必要なこと


2023年の5月29日〜6月2にかけて、条約の締結に向けた2回目の国際会議が開かれています。


私たちはどのような内容を条約に求めればいいのでしょうか。グリーンピースの担当キャンペナーは、プラスチック業界が何も変わらず、今のままであれば、「プラスチックの生産量は今後10〜15年で2倍に、2050年までには3倍になる可能性がある」と指摘しています。


世界のシングルユースプラスチック廃棄物発生量の推移(1950年~2015年)

出典:UNEP(2018)SINGLE-USE PLASTICS


実際に、世界の使い捨てプラスチックごみの量は、1950年から2015年の間、増加の一途をたどっています。プラスチックの年間生産量も過去50年間で20倍に膨れ上がってしまいました。年間生産量は約3.8億トン。これは全人類の体重をあわせたのと同じ重さです。


このまま大量のプラスチックを作り続け、その原料となる化石燃料を消費し、1年間の石炭火力発電所189基分にも上るプラスチック由来のCO2を排出し続けたら地球はどうなってしまうのでしょうか。


考えるだけでも恐ろしいですが、地球はプラスチックごみで溢れ、温暖化のさらなる加速もまぬがれないでしょう。



そんな未来を回避するために、プラスチックにまつわる状況を変える力を持つ条約には以下のことが必要です。


<プラスチック条約に必要なこと>

  • プラスチックを原料の採掘を含めた生産から規制し、生産量を大幅に減らす。

  • 大規模なプラスチック汚染を引き起こしている業者の責任を追求する

  • リサイクルではなくリユース・リフィルのシステムを構築する

  • 各国はプラスチックの生産、使用、輸入・輸出の透明性に責任を持ち、生産から廃棄に至るまでを報告する

  • システムの変化に影響を受ける労働者やコミュニティの議論への参画と公正な移行を担保する



仕組みから変えて、使い捨てない社会を作ろう



プラスチック条約の枠組みが、プラスチックを生産から規制する本質的な内容になるかどうかは、これからの交渉にかかっています。


グリーンピースは条約を効果的な内容にするため、市民の声をできるだけ多く集め、環境省、経産省、外務省に届けます。そして条約の内容が話し合われる政府間交渉に現地参加し、みなさんの代表として交渉を行います。


ぜひ以下の署名に参加してください。

また、より多くの人の声を集めるためにこの署名をひろめてください。


一緒に使い捨てごみを出さないリユース中心社会に変えるための「国際プラスチック条約」を誕生させましょう。

Text: Natsuko Yamane






0 views0 comments

Comments


作品を探す 応募する 記事を読む

bottom of page